2010年11月9日火曜日

「光子の裁判」が上演されました

130周年記念レクチャーシリーズ3 「光子の裁判」が、昨日11月8日に上演されました。多くの方にご来場いただき、ありがとうございました。


「光子の裁判」は、ノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎による「量子力学的世界像」にあるエッセイを演劇化したもの。


内容は一種の裁判劇で、「二つの窓を同時に通った」と主張する被告・波乃光子と弁護人が、「そんなのありえない」という検察官の常識的な見解を覆し、粒子と波動の二重性を実証していくというもの。大ざっぱには、ヤングの干渉実験を擬人化したものと言えるでしょう。


しかも、普通のお芝居ではなくて、登場する役者5人が全て光子(こうし=みつこ)を演じており、まるで反響しているかのように数人でたたみかけるセリフ回しは、演出上の工夫としてかなり秀逸で、つい引き込まれてしまいました。


そして、演劇の後は本学理工学研究科の細谷先生から、内容についての簡単なレクチャー。演劇だけでは何を言っているのかわからない部分が、先生のレクチャーで明快になり、わかりやすくなったと思います。この演劇はレクチャーと組み合わせることが大変有効だと感じました。


最後に質疑応答や会場からのコメント。「光子は確率でしか存在しない、ということが、切ないようなかっこいいような、そんな気がしました」という劇団の方からのコメントは、理系大学生にはなかなか出来ない(!?)詩的な発想で、私自身もナルホドと思いました。


細谷先生の締めの一言は、「量子力学は不思議で、腑に落ちない部分がある。それは、私たちの感覚は古典力学的世界の中で培われたものだからなのだろう。だから、いくら勉強しても不思議で腑に落ちないと感じる方が正常である。量子力学はまだ未完成な部分があって、実験結果に合うようになんとか理論を構築していったから、我々の常識とはかけ離れた理論になっているのだが、もう、人間のものの考え方の限界に来ている部分があるのかもしれない」ということでした(テープ起こししたわけではないので、正確でないかもしれませんが…)。


前衛演劇のような難解な内容であり、観客にどう受け止められるだろうかと心配でしたが、アンケートやtwitterでのつぶやきを見る限り、「面白かった!」「こういうのをもっとやって欲しい!」という声が大変多く、嬉しかったです(なお、本学学生の@Reiten_sanさんが、Togetterで「光子の裁判 傍聴録」をまとめてくれました)。


本演劇の実現にご尽力いただいた青年団若手の皆さん、特に構成・演出の渡辺美帆子さんには、この場を借りて御礼申し上げます。


上演の様子は、USTREAMで中継しましたが、録画も観ることが出来ますので、見逃した方は是非こちらでご覧ください。