2010年9月14日火曜日

東工大、今日の一枚(53)

すずかけ台キャンパス、総合研究館。80周年記念事業として建てられたものです。この建物、建設までに結構な紆余曲折を経ています。


竣工は1975年。本学80周年は1961年ですから、随分タイムラグがありますね。総合研究館は80周年記念事業とはいうものの、100周年を目前に完成したものでした。


総合研究館は、80周年の際に卒業生有志が中心となり、共同研究を行うための施設として東工大(正確には当時の文部省)に寄附されたものです。もともとは大岡山に建設する予定だったそうです。参考として、「東京工業大学綜合研究館建設事業資金募集趣意書」を抜粋してみましょう。
急速な科学技術の進歩にともなって共同研究体制の強化が著しく要望されるようになり,小にしては各研究室間,大にしては大学と産業界その他が各連繋して行う綜合研究が強 く推進されねばならぬ段階になりました。(中略)ここにおいて,私達[は]綜合研究館を建設して東京工業大学に寄付し,共同研究の場を与えひいては俊秀なる多数の科学技術者の育成に資し,もってわが国科学技術の進歩発展に大きく貢献しようと考えたのであります。
目指したのは、産業界とも連携した「綜合研究」。今風に言うと、産学連携とかソリューション研究のことでしょう。なかなか現代的なコンセプトの下に構想された建物です。


しかし、不況の影響などもあって募金活動は難航し、資金の目処が立ったのは1967年あたりになりました。それでも、文部省、大蔵省、東京都との調整も終了し、1968年ごろには着工される予定だったのが、その時ちょうど学園紛争が激しくなり、募金活動が中断されてしまいます。


募金活動が再開したのは、1968年。この時期、ちょうど東工大では長津田キャンパス(現すずかけ台キャンパス)への移転が計画されており、大岡山での総合研究館建設の当初計画を見直して、総合研究館はすずかけ台に無事建設されることになりました。なお、この計画には清家清先生も携わっており、私は、この独特のフォルムは清家先生の手によるものではないかと考えています。